■ 2007年 春のアーティスト・イン・レジデンス(AIR)プログラムのお知らせ
 
 
遊びの経路:itinéraire
 
 

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 物事が進むにはある経路をとります。物理的にも精神的にも何かが何処かに行くためにとる経路は、それぞれに異なるはずです。そしてどのような経路を通ったか、どうしてその経路を選択したかということが、目的地に到着する以上に重要な場合もあります。「経路」は、言い換えれば、予め決まった道筋をたどるものではなく、道筋を進む過程そのものといえます。 それは世界を確認し、認識していく過程であり、思考の過程そのものでもあります。 未知数の振幅あるこの過程を、今回「遊びの経路」とよぶことにしました。 アーティストの思考の過程ともいうべき作品は、その意思を伝達するものであると同時に、観る者へと受け継がれ、別の経路へと続いていくでしょう。 2007年の春のアーティスト・イン・レジデンスでは、作品や交流プログラムを通し、このさまざまな「経路」について考えを巡らせます。

【参加アーティスト】
アイガルス・ビクシェ(ラトビア)
カミーユ・グージョン(フランス)
小山田 徹     (鹿児島/京都)
パラモデル     (大阪)
【会期】
滞在 :2007年4月20日(金)〜7月20日(金)
展覧会:2007年6月16日(土)〜7月15日(日)
 
 
 
  【交流プログラム】
 ■アーティスト・トーク(アーティストによる作品解説)
  ・6月16日(土)、7月15日(日) いずれも午後2時から
   ※申込不要、入場無料。当日会場にお越し下さい。

 ■レクチャー(参加アーティストによる講義)
  ・カミーユ・グージョン「君は水獣アオモリを見たか?」6月24日(日)午後2時から4時
  ・アイガルス・ビクシェ「Life on the Art -ラトビアの芸術と社会」7月1日(日)午後2時から4時
  ・小山田徹「共有空間の獲得」7月14日(土)午後2時から4時
   ※申込不要、入場無料。当日会場にお越し下さい。

 ■ワークショップ(参加アーティストとの創作体験)
  ・小山田徹「お気に入りの実測図」6月30日(土)午前10時から午後4時
    散歩の途中で拾ったものを「実測図」(詳細なイラスト)にします。
    参加料無料、定員15名(申込多数の場合は抽選となります)、申込〆切=6月22日(金)
   ・パラモデル「パラモデルと一緒にプラレールで遊ぼう」7月8日(日)午後1時30分から4時30分
    プラレールを使って巨大な絵を描きます。*「プラレール」は株式会社タカラトミーの登録商標です。
    参加料無料、定員30名(申込多数の場合は抽選となります)、申込〆切=7月2日(月)

 ■ギャラリー・ツアー(学芸員による作品解説)
  ・6月23日(土) 午後2時から
   ※申込不要、入場無料。当日会場にお越し下さい。

 
 
 
  【参加アーティスト紹介】
アイガルス・ビクシェ Aigars BIKSE ラトビア
 1969年ラトビア、リガ生まれ。木、ブロンズ、石彫刻からスタートしながらも、その活動範囲は現在多岐にわたっており、社会的なグループの中のアイデンティティの確立やそのグループ内での対立などを問題にするなど場所やその土地の人々の暮らしを読み解きながら、様々な彫刻的なインスタレーション、アート・プロジェクトを行っている。また空間デザインやオペラ、演劇など舞台芸術も数多く手がけている。
【展示作品】
・The obvious but unbelievable adventures of the good Latvians and Japanese in the end the 18th century / 明白だが信じ難き、18世紀末の善きラトビア人と日本人の冒険
   粘土、発泡スチロール、PC、WEBカメラ、モニター、プロジェクター

【作家コメント】
 このプロジェクトは、全世界的な現象である文化のグローバル化の過程についての実験報告である。 この部屋は、架空の実験室をイメージしている。現実にはありえないことだが、これは2つの民族‐ラトビア人と日本人との18世紀末の家並みを再現し並列させた世界を模型化したものである。 展示期間中この実験室の中では、2つの国をめぐってさまざまな出来事が巻き起こり、粘土の模型で作られた世界が変化していく様を記録していくことにしている。 また、WEBカメラを使った双方向の映像送受信をリアルタイムに行っており、ACACには現在のラトビアが、ラトビアのとあるギャラリーにはACACの様子が映し出されている。 インターネットを通じて、模型の世界と同様にラトビアと日本の2つの国が繋がっている。
文化とは人間の身体と同様、常にさまざまな変化をするものであり、生きている限り完結することはない。私はこの実験によって、ラトビアと日本の物質文化が明らかにされることを望んでいる。 そしてまた私は、現代社会と称される現実の実験室をもって、私自身の存在をも立証するのである。

カミーユ・グージョン Camille GOUJON フランス
 1977年フランス、レリラ生まれ。どのように空間をとらえるか、身体はどのようにスケールや世界の知覚を扱うかに関心を持ち、ドローイング、ペインティング、ビデオなど様々な方法でその経路や知覚を作品化する。他方、近年その作品にはエコロジカルな問題意識が導入され、それらは一種の現代的な「風景画」となっている。
【展示作品】
・Greeting from the new Volcano / 新火山からの挨拶
   インク、紙
・Suiju fighting the smoking machine / 合戦青森 水獣と発煙機
   和紙、ワイヤー、木、ネオン、発煙機
・Who have seen Suiju Aomori / 君は水獣アオモリを見たか?
   ビデオ

【作家コメント】
 川はその身体に潤いを与え、道は循環する血液、森はその濃密な青き毛皮、丘はその鱗。それぞれの手には3本の指。左手には十和田湖、右手には竜飛とみられる人差し指がある。宇曽利湖から我々を眺め、巨大な口は、陸奥湾という。それが呼吸をすると、時折、大地が震え始める。もしそれが風邪をひいてくしゃみをしたとき、それが強ければ海は山の高さまで隆起する。
私がここで描いているのは、その伝説である。日本は海の怪獣であり、その頭部は青森の地図である。怪獣は、その皮膚を貫く機械の作動で目覚めた。あなた方は、それをまもなく目撃する。恐れることはない、それは優しい怪獣なのだ。

小山田 徹 KOYAMADA Toru 京都
 1961年鹿児島生まれ。美術家、風景収集狂者/Land Scape Maniacsを活動名とする。84年、パフォーマンスグループ「ダムタイプ」を結成し、主に企画構成、舞台美術を担当し、数多くの公演に参加する。90年よりさまざまな共有空間の開発を始め、「アートスケープ」、「ウィークエンドカフェ」、「バザールカフェ」などの企画に参加。このたびの滞在では、青森で出会った風景や物を考古学的、民俗学的なアプローチで捉え、太古の昔から現代に繋がる人間の感覚を人々と共有する作品を制作。
【展示作品】
・眺めるというコト
   実測図、収集物

【作家コメント】
 今回私が作品として展示しているのは実測図と呼ばれるものです。実測図というのは考古学の世界で、出土品の調査、研究の為に行なわれる記録方法の一つです。モノの特徴や出来事の痕跡を、正確に、それが最も良く現れる様に表現し、後々の研究者が、その資料を使って様々な比較研究が出来る様に描かれるのです。ある程度の描き方のルールが決まっているのですが、同じモノを違う人が描くと、不思議な事に微妙な差が出てきます。正確さはほぼ一緒なのに雰囲気が違うのです。たぶん、その人の観察するポイントや痕跡に対しての類推の仕方、モノへの思い入れなどの差が、実測図の表現に現れたのだとお
もいます。時々、ハッとする程の実測図に出会う事があります。描き手の対象物に対しての興味の深さや愛情が溢れた実測図です。そういうものを見ると美しいと思ってしまいます。考古学の世界にだけに置いとくのはもったいないのです。絵画の秘密がそこに隠されているようなのです。
 私は考古学は門外漢ですが、実測図を描き始めました。考古学とは関係のないモノも色々と描き始めてみると、今まで気が付かなかった様々な事を発見します。石や流木など色んなものを細かく見ると地形に見えてきます。細かい所と全体の形が似ています。穴の開き方にリズムがあります。形の理由が解る様な気がしてきます。本当にたくさんの発見があるのです。そして、世界は未知の喜びに溢れているのでした。今まで絵画という概念の眼鏡で見ていた世界とは違う世界が垣間見えたのです。
 実測図には対象に優劣がありません。あらゆる物を平等の視線で観察します。実は、この様な見方は新鮮なものです。私は今まで無意識に色んなフィルターをかけて世界を見ていたんだと気付かされ、そしてさらにその新鮮さを深める為にこそ知識が不可欠だと思い始めました。世界の様々な事、歴史や地理、生物。科学、物理、数学、思想、民族、風土、政治など、人類の知識は平等な視線を持つに至る為に必要なものなのではないかと。人である以上、あらゆる物に平等な視線など持ち得ないのは解っているけど、なんとなく今猛烈に勉強したい気分なのです、遅ればせながら。
 今回は青森で滞在中に出会った様々なモノや、過去に偶然私の手元にやって来たモノ、測量した洞窟の地図など色々描いてみました。又、青森市の文化財課の考古学の現場に接しておられる児玉大成さんにも実測図を描いていただきました。児玉さんは実測図経験の大先輩です。今回は、収集物も一緒に展示していますので、手に取ってじっくりと観察してみて下さい。 風景収集狂舎/小山田徹

パラモデル Paramodel 大阪
 2001年に活動を開始した、林泰彦(1971年東大阪市生まれ)と中野裕介(1976年東大阪市生まれ)によるユニット。2003年よりユニット名をパラモデルとして、「極楽模型」制作をテーマに、アニメーション・絵画・立体・写真・インスタレーションなど、様々な表現手法やメディアで作品を制作している。プラレールを使ったインスタレーションは巨大敷地内に迷路やドローイングにも似た不思議な世界を作り出す。近年ワークショップ活動も盛んに行っている。
【展示作品】
・paramodel - airline / パラモデル航空 [公開制作]
   groove tube:パラモデルオリジナル玩具(スチロール)、材木、アルミパイプ、糸、玩具
・phantom - graffiti / 幽霊の落書き
   写真
・paramodelic - graffiti / パラモデルの落書き [野外]
   プラレール

【作家コメント】
 僕たちは、少年が「模型/箱庭遊び」をするような気分で、作品を作っています。我を忘れて架空の世界に遊んでいて、ふと気付くと眼前に大きく広がっていた(散らかしていた?)摩訶不思議な絶景…そんなものです。いろんな物事を創り出すヒナ形でもある「遊び」にまつわる、詩的で未知な領域にジャンプする所の消息、そして少年特有の抽象性を伴った気分、高揚感、その辺りを大事にしたいと思っています。
【解説】
共に、中小工場の多い街・東大阪市出身。2001年より活動開始、2003年よりユニット名をパラモデルに。「身の回りの世界や心の中の様々な部品から組立てた、極楽・絶景・逆説…の詩的な模型のようなもの、そしてそれらのパレード行列のようなものを創ること」といったテーマで、玩具を用いたインスタレーション・オブジェ・写真・絵画・アニメ・パラパラマンガ・ワンカップ酒…など、様々な表現方法を用いて制作・発表しています。
 
 

 

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