■ 2005年 アーティスト・イン・レジデンス・プログラム2005春
 


 
 プログラムテーマ 手と目と耳の先へ
 




参加アーティストと作品 | プログラムデータ | その他の活動

 
参加アーティストと作品


■ 金沢 健一(かなざわ・けんいち)<東京都>


  「音のかけら」は鉄という素材が作り出す形と音の世界であるが、ACACでは背後の森の樹々、そして森の深さ、生と死の循環のイメージを鉄や形や音に投影した。森に囲まれた環境で1か月半の制作、生活は都会で生まれ育った私に何らかの作用を及ぼすのは当然のことであろう。湾曲するギャラリーの音の反響は、まさに音につつまれる体験。作品から紡ぎだす音のひとつひとつが細部まで心地良く響き、私の中で森の様々な音と共鳴しあう。屋外の作品では鉄片を並べ森へと続く道を鎮魂の意味をこめて作った。
<展示作品>
・ 「音のかけら―森から」鉄(3050×1525×12mm×2枚)、ゴム、左記の鉄板から溶断した191の鉄片
・ 「ドローイング(森の枝から)」鉄(600×600×12mm×8枚)、ゴム、木
・ 「音のかけら―森へ」鉄(3050×1525×12mm)、ゴム、木、左記の鉄板から溶断した87の鉄片

1956年 東京都に生まれる。金沢健一は、幾何学的な構成による鉄の彫刻を作り続けている作家である。《音のかけら》シリーズは、鉄板を様々な形に溶断し、ゴムの足をつけて並べた単純な仕組みだが、その単純さゆえに、多様な鑑賞体験ができる。大人から子どもまで、あるいは目の不自由な人も、楽しみつつ、同時に形と音、鉄と人の関わりなどの思索へといざなわれる。鑑賞者が積極的に働きかけることによって作品が成立する、参加体験型・現代美術を代表する作家である。



■ `島 庸ニ(はいじま・ようじ)<東京都出身/千葉県在住>

 今回の私の作品のテーマは「予兆、破壊、再生』です。ギャラリーの床にテープで図取りをしてあるのは、利休が秀吉のために作ったと言われている僅か二畳の茶室「妙喜庵待庵』の平面略図です。
 この国際芸術センター青森はいわば青森市の床の間です。その床の間の中に更に茶室をという美術空間を入れ込んで、さらにその茶室の本来の床の間には一度割れた茶器類を、地球再生の象徴として飾るという、二重、三重の入れ子状態を作って、そこで「予兆、破壊、再生』の茶会を開いて、現代美術と茶の新たな出会いを演出しようというものです。
<展示作品>
 ・ 「クローンド・ヴィーナス2005―AOMORI」
   「予兆そして破壊と再生の茶の空間―その1」メンディングテープ、金継ぎによる茶器類、アクリル絵の具、パステル、ガラス瓶、ヴィデオモニター、座布団、他
   「炭書―グーテンベルグ期の終末に」
   「予兆そして破壊と再生の茶の空間―2:森の枯れ枝の再生「ようじ(庸二)のようじ(楊枝)」のプロジェクト」森の枯れ枝、漆
   「悟空よ!」小学3年生38名とのコラボレーション アクリル絵の具、パステル、和紙、洋紙、ベニヤ板、ガラス瓶、他
   「悟空よ!」小学6年生60名とのコラボレーション アクリル絵の具、パステル、和紙、洋紙、ベニヤ板、段ボール紙、ガラス瓶、他

1931年 東京生まれ。代表作「クローンド・ヴィーナス」は、以前に描いた絵の一部を切り取り、新しい紙に乗せ、その切れ端の中に込められている絵画的遺伝子を読み解きながら、そこから新しい作品を描き継いでいく手法をとり、ドローイングでありながら立体的な展開を見せる作品となる。市民との巨大立体ドローイングを共同制作するなど、ワークショップを数多く展開する予定。



■ Jean-Marc SPAANS(ジャン=マルク・スパーンズ)<ロッテルダム/オランダ>

 国際芸術センター青森の安藤忠雄建築と、自然、そして私自身の身体との関係を、建物の中心にある野外ステージや水のテラスからとらえて見た。そしてセンターの内部と外部の空間を再構築し、建築・自然・自分自身という三者の融合点を見出そうとするものである。
<展示作品>
 ・ 「あいまいなもの」インクジェットプリント(125×160cm)3枚、スライドプロジェクション

1967年オランダ生まれ。ビジュアル・アーティストとして、主に写真、ビデオ、フィルムなどを用いた作品を制作している。蛍光灯を操作し、さまざまな光の軌跡を時間軸とともに三次元的に表現し、大判のチバクローム・プリントによる写真を数多く発表。画面の中には時折彼自身の姿も浮かび上がり、優美な光の中にも緊張感のあるアクションが取り込まれている。2000年、国際芸術センター青森のプレイベント「puddles」に参加し、青森公立大学、合子沢記念公園などで多くのボランティアとともに作品を制作。初めての野外撮影に挑んだ。このたびの再来青にあたり、青森の風景、人々とどのようなコラボーションが生まれるのか、大いに期待される。




■ Severine HUBARD(セビリーヌ・ユバール)<ストラスブール/フランス>

私は、さまざまな素材を使いますが、基本的に「彫刻的』な作品を制作しています.私はまず素材を探し、それらをストックし、その中から自分がなにを作るかを決定します。同時に制作時には、あるルールを作り出し、それにしたがって制作を進めます。今回のレジデンスでは、私は自分に一日ひとつの構造物を作ることを自分に課しました。それはここでの制作にパフォーマンス的な局面を与えました。
 私の作品の中では、手早く造られた様な建物を直観的に認識することができるでしょう。それは同時に、私が日本の都市のなかで見出した感覚でもあります。
 ACACの曲線を描く空間の中で、私は作品とそれとは対称的に方形の構成にしようと決めました。観客の皆さんが私のインスタレーションの中を歩き、作品を横切る大きな橋に登ってパノラマ的な視点を楽しみ、ギャラリーの中で外にいるような感覚を味わっていただけたらと思います。
<展示作品>
 ・ 「自分自身へのポトラッチ/日本」木材、角材、板、廃材となった窓とドア、ネジ、釘、カラーボード、アクリル板、木、竹、テープ、紙、ドローイング、鉄枠、光

1977 フランス生まれ。1977年フランス、リール生まれ、ストラスブール在住。ブリコラージュ(手近にあるものを寄せ集めてモノを作る)の手法を用い、小さなオブジェから巨大な構築物まで組み合わせて作り出す。あるいは時に逆説的に「転覆的ブリコラージュ(subversive bricolage)」という言葉を用いて、事物を建築的に解体させて提示する。建築的、彫刻的な構造はガラクタとブリコラージュによって解釈/翻訳され、廃材で組み上げられたバリケードを思わせる巨大な構築物は、時に見るものの知覚と感覚を混乱させる。



■ GERLE Margit(ゲレル・マーギット)<ケチケメート/ハンガリー> 
 私が作り出す生命態とは、空想の動物園や植物園から脱出して来たものたちである。それらの形態は曖昧なものではないが、色々な意味の詰み重なりである。
 創造行為とは儀式のようなもので、象徴的かつ生命の原型となるものである。オブジェの形体はそれ自体で鼓動し、不可思議な力に導かれながら、開かれた空間に向ってゆっくりと動き始める。作品は浮き上がり、曖昧な三次元性をもった錯覚的空間を作り出す。フロッタージュ(擦りだし)という技法によって、私は重層的な段ボールの内部構造を表面に際だたせるようにした。麻紐で巻く方法や、影を作ることなどは、日本での印象から生まれたものである。
<展示作品>
 ・ 「段ボールの生命」色鉛筆、パステル、麻紐、段ボール紙
 ・ 「生命態」色鉛筆、パステル、段ボール紙

1949年 ハンガリー生まれ。ケチケメート在住。1949年生まれ、現在ハンガリー、ケチケメート市在住。セラミック、紙を中心とした様々な素材を用いて有機的なフォルムを作り出し、それらをインスタレーションする。これらの偽自然物は、それら独自の形態学を持ち、渦巻状、螺旋状、波状が現れては消える作品群は、空想の動物園、あるいは空想の植物園から抜け出したような動植物のようでもある。


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国際芸術センター青森 電話 017-764-5200
               ファクシミリ 017-764-5201
               e-mail acac-air@acac-aomori.jp

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