■ 2005年 秋のアーティスト・イン・レジデンス(AIR)プログラム
 


 
プログラムテーマ 変わりゆく世界で:Transformation / Metamorphosis
 



参加アーティストと作品 | プログラムデータ |  その他の活動 | 観覧者の感想

 

参加アーティストと作品

■ 佐々木 愛(SASAKI Ai)

1976年大阪府生まれ、大阪府在住。2001年金沢美術工芸大学美術学部卒業、 2002年彩都IMI大学院スクール修了。家の歴史や逸話から人のもつ根源的な世界を探求。砂糖を使用した立体制作 と壁面ぺインティングによって、家や船、山のイメージを作り出す。第10回ARTBOX大賞展(2002年)、 「感覚を呼び覚ます5つの時間」アートカレッジ神戸(2003年)、「京都芸術センター2004」ほか展覧会多数。

<展示作品>
・「SNOW(雪)」砂糖、卵白、レモン 600×2500cm

「記憶」それ自体を手がかりに作品制作を行う。彼女にとって「記憶」とは、自と他を分けるための基本的要素であるが、 同時に非常に曖昧で、消去も変換もたやすいものでもある。多くの記憶装置が存在する現代、これらに記憶させることにより 消えていった記憶はどこに行ったのだろうか。メレンゲやレオンを加えられた砂糖を使って壁に描かれた作品にみられる山や 船や家などのモチーフは、我々を取り囲むことにより我々自身のたち位置を確認させるものとして記憶と結びつけられている。 これらは、組み合わせられ、一種の「記憶装置」として描かれていくのだが、これらのモチーフそれぞれの結びつきは、 単に感覚的なことからだけではなく、山や船にまつわる民話や様々な神話に由来する。そして言うまでもなく、 神話や民話は我々の共通の記憶でもある。
作品に用いられる砂糖は、生態的に記憶をつかさどる脳のエネルギー源となるものでもあるが、物質的に溶けやすく、 いずれ消えてなくなることを想起させる。消えていくことを思わせる淡く繊細な作品は、それ自体がまた「記憶」の 一つの形のようでもある。


■ 中西 信洋(NAKANISHI Nobuhiro)

1976年福岡県生まれ、大阪府在住。1999年東京造形大学美術学部美術学科彫刻専攻卒業、 2001年京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。
空間を触れることのできるものとして捉えたときのネガとしてのものの形、ネガとしての空間、重層的な世界を 同時に切り取りたい。刻々と変化していく形態(時間)を撮影したポジフィルムを重ねた立体作品を制作予定。 2000年〜2001年「Boomerang Art Project 2000 in Kyoto」(京都アートセンター、GAK/ブレーメン)、「神戸アートアニュアル2001」、2005年INAXギャラリー(個展)他。

<展示作品>
・「Layer Drawing Cloud(レイヤー・ドローイング 雲)」インクジェットプリント/フィルム 100×100×(100枚)2000cm
・「Layer Drawing Fog(レイヤー・ドローイング 霧)」インクジェットプリント/フィルム 100×100×(100枚)2000cm
・「Stripe Drawing Coulee(ストライプ・ドローイング 谷)」エッチング/紙 紙:166×144cm、イメージ140×118cm100×100×(100枚)2000cm
・「Stripe Drawing Forest(ストライプ・ドローイング 森)」エッチング/紙 紙:166×144cm、イメージ140×118cm100×100×(100枚)2000cm
・「Layer Drawing #001-081」ミクストメディア 各5×5×4.2cm/81点/エディション30 2004年(#001-#009)、2005年(#010-081)

 <レイヤー・ドローイング>
 青森滞在中に撮影した風景100枚を一組として構成したインスタレーションである。雲の動く風景を定点で撮影した風景、また霧のある森の中を数歩づつ歩きながら撮影した風景、 どちらも雲、霧など白く映った部分が透過し、面と時間の重なりが立体的な映像となって浮かび上がる。時間とともに消えていく風景を一つのインスタレーションとして同時に 移動しながら体験するものである。
 <ストライプ・ドローイング>
 エッチングによる細かいストライプの線で描かれた銅版画。線の密集で浮かび上がるイメージと余白とが、線と線の隙間を介して境目のない入り組んだ空間を作る。 銅版画の強く盛り上がった線により、余白と線とコントラストが強調される。
<レイヤー・ドローイング>
 アイスクリームの溶ける様子、移動中に見える風景など刻々と変化していくイメージを、時間を追って撮影したもの。35mmポジマウント24枚重ね、その中を覗き込むことで見えてくる 立体、時間を体験する。

■ ミシェル・アラード(Michelle ALLARD)

1973年カナダ、バンクーバー生まれ、トロント在住。1998年オンタリオアート アンドデザインカレッジ卒業(彫刻/インスタレーション)、2001年グェルフ大学修了(彫刻/インスタレーション)。 彫刻とインスタレーションの手法で、紙やポリスチロール、プラスティックなど大量生産されている一般的な素材を使って、 それらの固定イメージを変換させる。労働や消費と同義だと考え、大量の紙を使うことを特徴とする。トロント・アート・ カウンシル(2002年)、マクドナルド・スチュワート・アート・センター(2003年)にて展覧会を行うほか、 2005年にはフランスのポーレン・アーティスト・イン・レジデンス参加。

<展示作品>
・「花開く」コピー紙、接着剤 サイズ可変
・「往来」タイルカーペット、人工芝 785×420cm

 「変化することなく安定している」という静止した状態に揺さぶりをかけるようなものを作品によって探求。 ポリエステル、プラスチック、ダンボール、紙といったどこにでもある素材を大量に集め、形を変え、積み重ねることにより、 鍾乳石やクリスタル構造、あるいは何かの堆積物を思わせる作品を作り上げていく。それらは安定しているものと安定していないものとの 間をつなぐ途中の状態としての「プロセス(過程)」であり、彼女はこれを、循環、増幅といった動きとともに表していく。そこには常に 変わり続ける世界の力動的な側面に対する関心をみることができるだろう。今回の作品《Fourish(花開く)》では、豊かに育成していく 状態をギャラリーの中に作り上げた。約20,000本の黄色の紙筒のその色と形は光や暖かさを思わせ、花粉や植物の育成のような未来への 豊かさを暗示させている。
 ギャラリーBとAの間の通路に置かれた作品《往来》では、私たちの「デザイン」に対する欲求を考察しつつ、構造、場所、機能、そして 周囲の自然との間の関係性を作り出した。


■ キャロル・ペレイラ(Carol PEREIRA)

1976年アメリカ、ニューヨーク生まれ、ニューヨーク在住。2001年クーパーユニオン美術学校卒業、 2003年イェール美術学校修了。室内であれ野外であれ、自然や人工的な形態を、建築の部分のように変容させる空間を作りだす。 プランはACAC水のテラスに発泡スチロールで作った巨大な島を浮かべ、それらを周囲の建築の変異体のように見せるもの。 アジアン・アート・イニシアティブ・ギャラリー、インドアメリカ・アート・カウンシルでの展覧会などインド系アメリカ人 アーティストしての展覧会にも参加。

<展示作品>
・「上昇する渦巻き」絵具、ウレタンフォーム、針金、金網 サイズ可変
・「まばたき」DVD 1分04秒
・「さぁ、みんな一緒に」DVD 4分56秒

 アーティストは魔術師である。魔法の杖一振りで、自然をなにものかに変換する。自然そのものも、また人が感じたことも、さわれるものになる。 《上昇する渦巻き》と題したインスタレーションでは針金と発砲体、絵具が一体となって、地面の沈殿層が隆起してきたかのように見える。それは 赤っぽい肌から灰色の表皮へとしだいに変化する。驚きに満ちた自然の舞台である。火成岩でできた洞窟を宿としていた移動住居の変容といってもいい。 色分けされた線は別の構造にもつながっていく。縦の線は、木製の階段席が描くパノラマ的水平線と一緒になって、発砲体の島をとりまく水の輪につながり、 水辺は開かれていく。水の上では光の反射がつくりあげ、優美な貝殻の中で育ったおとぎ話が繰り広げられる。一角獣がさまよう森に待っているかもしれない冒険物語が。

■ パル・ペーター(PAL Peter)

土や木や石など自然から得た素材で作品制作する。野外制作では特定の場所との関わりからサイト・スペシフィック なものとなる。彫刻的三次元性を強調したインスタレーションでありながら、ある1点から見ると得られるイメージを中心に構成する。
1961年ルーマニア、トゥルグムレッシュ生まれ、在住。1989年ブカレスト美術アカデミー卒業。トゥルソパート国際美術キャンプ (2001年、ハンガリー)、光州自然芸術プロジェクト(韓国)、国際野外表現展比企(埼玉)など野外彫刻展に多数参加。

<展示作品>
・「アナモルフォーシス3(歩ける彫刻)」石、ステンレススチール 800×800×170cm

 この作品は、古典的な形態から採られたイメージを、16世紀からすでに用いられてきたアナモルフォーシスと呼ばれる方法によって変形させたものです。 私は様々な種類の石を地面に並べてひとつのイメージを再生し、それを鏡像として見せようとしました。石は主に青森県内の海岸で集めてきたものです。 また鏡に映る像は中南米プレ・コロンビア時代の仮面をもとにしたものです。


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