冬の芸術講座2019 関川航平ワークショップ「人が人を見る」

2019.3.19.火曜日

2月3月は冬の芸術講座2019「あそびの余白」を行いました。
全3講座の様子を順に掲載します。

1つ目はアーティスト関川航平さんによるワークショップ「人が人を見る」です。
2日間の連続講座のうち、1日目は互いを知らない人同士同じ部屋で過ごしてみる、ということをしました。

それぞれ異なる時間と場所を指定されて来た参加者は、関川さんから一つずつインスタントカメラの「写ルンです」が渡され、室内では他の参加者と話をしないことと、人物を入れた風景を撮ること、という2つのルールが説明された後同じ部屋に集められました。お互いが誰なのかわからないまま、一つの部屋に集まり1時間半の間ひたすらそのルールに従って過ごします。

例えば、電車の中などでは見ず知らずの人同士が話をすることもなくある一定時間同じ場所にいることはありますが、初対面の人同士が挨拶もせずに見合ったり写真を撮ったり撮られたりする状況はないものです。
ここでは非日常の出来事を起こして違和感を体験します。

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画像はインスタントカメラで参加者同士が撮影し合った写真です。
関川さんが会場のマイクやスピーカーを使って音楽を流すとその場の空気がかわり、参加者も置いてあったライトを動かしたり思い思いに行動をし始めました。
その空間は自然と演劇か舞台の中に入って人を見ているような、あるいは自分が見られる側になっているのか、演者と観者が入り混じっているような状況を起こしていました。

午後は関川さんの作品の話を聞いた後、
参加者同士はまだ互いが誰であるかということは話さないまま、複数の人達が会話をしている様子を反対側から客観的に見る、ということをしました。

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たわいのない会話をしている様子を見ているうちに、お互いが誰かはわからなくても、その人の性格やどんな傾向があるかなどが見えてきました。

人と初めて会った時にその人の名前や何をしている人なのかを知ることが通常ですが、それらの情報を排除して、ワークショップのタイトル通りひたすら人を見てみる、そして知り合いになる、という試みだったのです。

非日常の状況を作り、人を「見る」行為を確かめる機会となったと同時に、知ることが言葉の情報に偏っている現状、何をもって人が誰であると言えるのかという問いを目の当たりにしました。
また、人から名前や背景がなくなると何かを演じているようにも見えてくる、逆を言えば何かを演じること、パフォーマンスすることは個を無くし人に想像する余地を与えることでもあるのかと考えさせられるようでした。

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2日目は、人が何かをしているところを見てそれを文章に書き出してみる、ということをしました。引き続き「人を見る」ことは同じですが、それを文章化することで見えるものをどう認識しているのかを探ります。

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見えるものを見えるままに書き出すこと、次から次へと変化する出来事を瞬時に書き起こしていくことの難しさを実感しながら、ひたすら書いて読み合せをしていきましす。

お互いに読んでいくうちに、参加者それぞれの言葉の描写には具体的または抽象的な表現があることがわかり、さらに焦点をあてる範囲、時間の捉え方などにも様々な違いが出ることを確かめていきました。
中でも抽象的なものの見方では、見る人/書く人による想像が広がる場面も出てきて、視点と言葉の掛け合わせの多様さが顕著に表れました。

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2日間の「人が人を見る」ということ。

見ることから言葉による認識、また言葉から見えてくる認識によって、参加者それぞれが新しいものの見方を見つけたように思います。

言葉の掛け合わせで視点の動きや情景を描き出している関川さんの短編小説コラム「目の泳ぎ」は、『雛形』というウェブマガジンで読むことができます。
https://www.hinagata-mag.com/auther/sekigawa

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