メゾチントでつくる私の蔵書票

2018.3.16.金曜日

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3月3日、4日と2日間にわたる銅版画のワークショップを開催いたしました!
講師は岩手県在住の版画家、岩渕俊彦さんです。

まずは、それぞれから自己紹介。本が好きな方や、活版印刷に携わる方など、青森市はもちろん、遠くは仙台からのお越しの方もいました。

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次に、蔵書票やメゾチントについて理解するためのレクチャーが始まりました。紙が西洋に伝わり、本が出版されるようになったことや版画が芸術として発展してきた歴史や、そこから生まれた蔵書票という楽しみについて、また作る約束事として「蔵書」を意味する「ex libris」と自分の名前を入れること、などを知りました。メゾチントは凹版の一つであり、銅板全体に溝を作った上で、それをつぶすことで描く(つまり黒い部分をまず作ってから、白い部分を描いていく)などの説明に入ると、ちょっと難しくなってきます。積極的に出てきた質問に、岩渕さんが和やかな口調で的確に答えていくと、納得できたようで皆さん安心されていました。

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午前中の最後には、黒い画用紙に白い色鉛筆でグレースケール作りや影の付け方を練習して、銅板の白くしたい所を彫るイメージトレーニングをしました。
お昼休憩をはさんで、午後からはさっそく下絵を描き始めました。図鑑やタブレットで調べた画像を見ながら、思い思いに描いていきます。なかには、さっそく既に描いてきた下絵を版に写す作業に入る人もいました。描きたいものが決まれば、あとはひたすら彫っていきます。

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2日目は、いよいよ刷りに入ります。その前に岩渕さんのお手本を見ながら、手順を覚えます。版を温めて、練っておいたインクを付けたら、寒冷紗などで余分なインクをふき取ります。その後はそっと印画紙を重ねてプレスしたら、縮まないよう水張りをして、置いて乾かすという手順です。
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できそうな人は試し刷りから始めていきます。プレス機の周りでは、いい刷りになるよう皆さんお祈りする姿も。お手本だとさっとできそうな気がしていましたが、そうはいきません。彫りはもちろん、ふき取るときの力加減や紙の載せ方など、出来上がりには様々なことが影響します。もっとこうしようと皆さん意気込んで、次の刷りに臨んでいました。

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最後にはそれぞれに満足の一枚を作り上げることが出来て、歴史も作業も沢山の要素が絡み合うメゾチントでつくる蔵書票の奥深さを体感していただけたようでした。

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