盛圭太 トークイベント
2018.11.11.日曜日
11月10日は、現在開催中の秋のアーティスト・イン・レジデンス展覧会のアーティスト・トークシリーズの第一回目、「空のない雲たち」と題された盛圭太さんによるトークが行われました。
盛さんは、足を動かして作品を体験することが大切だと言います。始めに参加者と一緒にギャラリーへ作品を見に移動し、普段は触れることのできない作品に触れてもらい、盛さんのウォールドローイングが糸や毛糸とグルーガンによって描かれていることを話しました。ギャラリーの大きな壁に描かれた作品に包み込まれるような空間を体感するほかに、物質的な線を、触感を通して体験することができました。
実際に作品を近くで見ると気づく、糸のほつれやからまった部分がトークでの核ともなりました。ドローイングは遠目ではシステムティックに見えるのですが、グルーガンの接着剤の跡や、制作中に絡まった糸はそのままにされています。
一般的には制作する上での間違いとされ、作品として処理されるようなそういった様相は、わたしたちの社会で起きる出来事と関連しているのだと言います。秩序が成り立って見えている世の中にある、どんな高度なシステムであっても、必ず「エラー」が含まれているのだということをドローイングに現していることを説明してくれました。
作品はコンピューターのシステムエラーの時に出てくる「バグリポート」からタイトルが付けられ、シリーズとして継続されています。
トークの中では、糸によるドローイングを制作する前にすでに構想し、昨年ようやく制作することがかなったという映像作品も紹介されました。一瞬で形を変え続ける「あやとり」を撮影したの映像には、現在のドローイング作品で表している不確定さや儚さなどが内包されています。
さらに盛さんはパフォーマンスにも興味があり、平面的なドローイングを引き出してパフォーマンスや立体的に表していく計画もあるのだと、今後の展開も話してくれました。