楽譜ツアー

2015.6.23.火曜日

6月21日(日)は「楽譜ツアー」を開催しました。
鈴木ヒラク展の時に開催した「暗号ツアー」に引き続き、いくつかのアクティビティを通して展覧会や作品を様々な角度から鑑賞してみようという試みです。

今回は、蓮沼さんの作品《5つの楽譜の層》からヒントを得て活動しました。
同作品は、五線譜ではなく図形で描かれた楽譜「図形楽譜/図形譜」が5つ重ねられた作品です。

ツアーでは最初、蓮沼さんの作品以外にいくつかの図形譜を見てもらいました。
よく知られたものでは武満徹さんの楽譜や、野村仁さんの《moon score》などがありますが、
実は日本の伝統音楽も五線譜ではなくひらがなや漢字、そしてグラフのような線や円で描かれたものなどがあり様々な工夫が凝らされているのが分かります。
そもそも西洋音楽が入ってくるまでは日本に五線譜は存在しなかったので、世界各国を探してみるとその土地特有の色々な楽譜が見つかるかもしれません。

それからまずは、ギャラリーAを入り口から順番に歩きながら言葉で音を表現してもらいました。
一部をご紹介します。

1、《環境的#1》のあたり

OLYMPUS DIGITAL CAMERAシンセサイザーの音がなり続ける作品。
「ガムランのような音。」
「永遠に続く様子から丸を思い浮かべる。」
「粒よりは線という感じ。」
「スポンジとクリームが重なって四角く整えられたケーキをイメージする。自分がこの空間に入ってきたことが、長方形の長いケーキをサクッと切ることに似ている感じがする。」

2、《フィードバック》のあたり

OLYMPUS DIGITAL CAMERA金色の筒の中に仕込まれたマイクが拾った音がスピーカーから流れてくる作品。
「音楽をやっているのでエフェクターの種類が気になる。」
「空間の割れ目やずれを感じた。」
「音が渦を巻いている。」
「《環境的#2》(低音によってヤジロベエが動く作品)の音が一番聞こえて、それにポンという高い音が入り、その2つの音が親子のよう。」
「《フィードバック》はそれ自体は音を発しないけれど、音を集めてエフェクトをかけて(筆者注:変化させたり編集したり)出力する、というのは蓮沼さんの今の活動と同じで、この作品は蓮沼さんそのもののような存在のように感じる」

3、《環境的#3》のあたり

OLYMPUS DIGITAL CAMERAドラムを解体して再構成した彫刻作品。
「ギャラリーAをずっと歩いて来てここまでくると、ギャラリー全体が一つのバンドとして作られているように思える。《環境的#2》の低音が通奏低音として流れていて、《フィードバック》で周囲の音を変化させ、《砂のコンポジション》(砂場にスピーカーが置かれた作品)や《音の回転》(試験管の中にビーズが入っていて回転する作品)が規則的でシンバルのよう」
「ここに来てまた《環境的#2》の音が増幅された。」
「ドラムが好きでやっていたので、解体されてもドラムにしか見えずドラムのどの部分かを考えながら見ている。」
「《環境的#1》のシンセサイザーの音が全部混ざって聞こえる。」

みなさんそれぞれ着目点が違い、他の方の意見を聞いたり自分で言葉にしているうちにまた別の意見が出てきたり、濃密な対話ができました。
それからいよいよ絵や記号で描いてみます。まずはギャラリー内を各自で歩きながら鉛筆でスケッチ。

IMG_2619s

 

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その後ラウンジのテラスに場所を移して、水彩色鉛筆、マジック、色画用紙を使って作品を作りました。

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最後にはちょうど蓮沼さんがいらして、みなさんの発表を一緒に聞いてもらいました。

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それぞれ、こんな作品ができています。

IMG_2650s秋元s

畠山

 

こちらの方は3点で1つの作品。

奥脇2s

 

奥脇横

 

奥脇スケッチ1s
意外と最初に話をしていた時の言葉を手掛かりに形が作られているのが印象的でした。
前回の鈴木展の際には、鈴木さんのドローイングに言葉や音を与えてみましたが、今回も言葉から形に変化していく過程が見え、言葉と形の関係や思考と言語の関係を考えさせられました。
また、形の無い「音」が色や形に変換されていく様子も興味深く拝見しました。

完成した楽譜は蓮沼展の会期が終わるまでラウンジにて展示しています。ぜひご覧ください!

 

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