鈴木ヒラク ライブドローイング&トーク

2015.5.6.水曜日

ゴールデンウィークど真ん中の5月3日、個展「彼方の記号」開催中の鈴木ヒラクさんによるライブドローイングとアーティストトークが実施されました。
快晴のこの日、ライブドローイングが披露されたのは野外劇場です。水場に囲まれた円形の展示棟建築の中央を貫く通路に、約35mの用紙を設置し、そこに鈴木さんがドローイングを描きます。そしてお客さんは、野外劇場の階段状の客席から彼のパフォーマンスに注視します。
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ライブドローイングは、特に前触れもなく自然にはじまりました。最初は池に小石を投げ込み、水面に波紋を生成させ、映り込む風景が撹拌され抽象化される様子を静かに眺めます。
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しばらくその動作を繰り返したのち、今度は小石を通路上に散りばめ、紙の端から描き始めます。その描画は、ほとんど躊躇することなく、音楽の即興演奏のように、小気味良いリズムで展開されていきます。身体全体で描いているように見えます。
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約15分ほどで、35mに及ぶドローイングが完成。ギャラリーの大壁画がいかに描かれていたのか、その一端を想像できるようなパフォーマンスでした。
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そして、20分程度の作品鑑賞と休憩の時間を挟んで、ラウンジに移動して鈴木さんによるトークです。最初に彼自身の活動を、「ドローイング」を中央に据えて捉えた独自のダイアグラム(概念マップ)を示したうえで、その幅広い表現活動の軸に置く「ドローイング」についてお話いただきました。冒頭でダイアグラムを介して鈴木さんの思考の大まかな全体像が提示されたため、その後の作品の解説や制作プロセスの紹介は非常に理解しやすく、鈴木さんの作品をより深く知るよいきっかけとなりました。
会場は適度に満員でしたが、アットホームな雰囲気でリラックスしたよい時間でした。ご来場いただいたお客様、そして素敵なライブドローイングとトークを披露していただいた鈴木ヒラクさん、どうもありがとうございました。
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展覧会は、5月17日(日)まで、残り10日です。必見です!

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暗号ツアー

2015.4.26.日曜日

4月26日(日)は「暗号ツアー」を開催しました。

ACACでのギャラリーツアーは展覧会ごとに試行錯誤しながら色々なやり方を試みていますが、今回はワークショップ色の強いツアーとなりました。

記号や言葉、文字などについてのお話などをしてからACACスタッフが写真に撮った壁画の一部分のかたちを言葉に置き換える、というアクティビティを行いました。

まずはかたちから、1つの意味と音を考えてみます。

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最初は同じかたちについて考えます。

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Aさん

意味:胃カメラ 音:Muani(ムーアニ)

Bさん

意味:親子 音:ネー

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Aさん

意味:親子 音:Yon

Bさん

意味:脱げた靴 音:カポ

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Aさん

意味:追う 音:Teiju

Bさん

意味:UFO 音:ピーピピピ

 

次に、好きなかたちを選んで意味と音を与えます。

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意味:樹々 音:uu(ウウ)

かたち一つが樹を表し、集まって樹々になる、とのこと。

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意味:反射 音:Kikkutoi(キックトイ)

上の水平線が水面を、U字の部分が光の反射を表す、とのこと。

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意味:天国の穴 音:マッテルヨ

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意味:おばあちゃんのブレスレット 音:hisui

丸く点がかかれた部分がブレスレットですが、若い人がするものではなく、年配の方がするような高級なブレスレットが思い浮かんだ、とのこと。

 

それから、複数のかたちが写った写真に、みんなで言葉を付けました。

例えばこうです。

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1、 意味:閉じ込められた 音:グン

2、意味:宇宙からの粒 音:inochi(イノチ)

3、意味:ほしもち 音:Tenpie(テンピー)

左から続けて読んでみましょう。

閉じ込められた宇宙からの粒、ほしもち。

グン イノチ テンピー

右から読むと

ほしもち、宇宙からの粒とじこめられた。

テンピー イノチ グン

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1、意味:道草 音:アノネノネ

2、意味:中立の 音:スイッチョン

3、意味:走る(からの) 音:Ryuリュ(chiチ) ※2つの意味と音があります。「走る」の場合は「リュ」と読み、「からの」の場合は「チ」と読みます。

さて、こちらは3→2→1の順番で読んでみましょう。

走る中立の道草。

リュ スイッチョン アノネノネ

1→3→2ではこうです。

道草からの中立の。

アノネノネ チ スイッチョン

意味が分かるような分からないような文章が出来上がりました。

そして最後に、言葉の部分を隠して、かたちだけで3つ選び並べます。

並べてから言葉の部分を開いてどんな文章になっているか見てみます。

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この並びではこんな文章ができます。

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上から、樹々、反射、イカ という意味です。

助詞を与えてみましょう。

樹々を反射するイカ。

 

さて、このような意味があるような無いような文章、詩によく似ていませんか?

鈴木ヒラクさんはギャラリー入り口に掲示している文章の中で、こんなことを言っています。

「解体された世界の欠片をつないで、新たな線を生む。この線は、”いまここ”と”いつかどこか”を接続する回路となる。その回路を行ったり来たりするのは、絵でもことばでもない、ただの記号である。」

世界の欠片を見つけたり、つないだり、行ったり来たリすることをドローイングで表現する人もいれば、言葉で表現しようとする人もいて、その方法の違いによって美術家と呼ばれたり詩人と呼ばれたりします。今回の試みを通じて、どちらも芸術の領域で、表現のメディアが違うだけで意外と近いものなんだな、ということを体感していただけたら嬉しいです。そして、言葉と音を考えてみることによって、作品の中に広がる無限の世界が見えてくるような気がしました。

作品鑑賞の方法の一つとして、かたちに意味と音を与えてみるやり方、よかったら試してみてください。ご家族やお友達と一緒にやると盛り上がるかもしれません。

今回のツアーで集まった意味や音は、これからカード式の鑑賞ツールとしてまとめてラウンジでどなたでもご覧いただけるようにしますのでお楽しみに!

 

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壁画と《casting》

2015.4.5.日曜日

鈴木ヒラクさん、壁画の制作を進めています。
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また、博物館のカタログの写真に着目して、ステンシルをあててものの輪郭をシルバースプレーであぶり出す《casting》という数百枚のドローイングも設置中です。
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ドローイング制作中。

2015.4.3.金曜日

鈴木ヒラクさん、本日も描いています。断片に着目すると、文字や記号にも見えるし、具象的な絵のように見える部分もあります。捉えられそうで捉えられない光を追うような体験。ドローイング、とても奥深いです。
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もう一点は、リフレクターという反射板をもちいた作品。暗闇で光りを照らすと、輝く立体的なドローイングです。
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鈴木ヒラクさん、滞在制作中。

2015.4.2.木曜日

鈴木ヒラクさんが滞在制作中です。全長65メートル、高さ6メートルの曲面壁に壁画を描いています。外光を受けること、鑑賞者が移動することで、常に変化する光を捉えるドローイング。

実物は4月18日オープンの鈴木ヒラク「かなたの記号」展でご覧下さい。

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