潘逸舟 パフォーマンス
2017.12.14.木曜日
12月10日(日)、秋AIR参加作家・潘逸舟によるパフォーマンスを開催しました。
出品作に登場する林と関連をもたせるため、創作棟の奥の木の多い場所で行いました。30人以上のお客さんが集まり、息をのんでパフォーマンスを見つめました。
制作は続く
2017.12.7.木曜日
クレマンス・ショケ&ミカエル・ガミオ ワークショップ「それ、アヤシイ?」
2017.12.4.月曜日
11月26日(日)、クレマンス・ショケとミカエル・ガミオによるワークショップ「それ、アヤシイ?」を開催しました。AVルームに集まって、終始リラックスしたムードで進みました。
午前中は、複数の動画を見ることから始めました。妖怪やお化けといったものについて、今までどう表現されてきたかを考えていきます。例えば、フランスでは女性の嫉妬によってお化けが生れるという話があるそうですが、白雪姫になぞらえた古いアニメーションでも、自分よりも美しい白雪姫に嫉妬した女王が変身していきます。タイヤがひとりでに動き出していく映像からは、物が意思をもって、成長していくような印象を私たちに与えました。
どの映像も、モノクロのアニメーションや少人数の役者と舞台装置といった少ない要素で制作されたものですが、私たちの想像力をかきたて、人格のようなものを思い起こさせます。また、ルイス・ブニュエルによる映画《The Exterminating Angel》や車の渋滞を例に、誰かに強制されていないのに、集団のなかで自然と人がやってしまうことの不可解さにも話が展開しました。
その次に、アーティストの二人が、「ちょっと奇妙だ」と思って撮影してきた写真を見ながら、そこに居そうな妖怪を考えました。メモだったり絵だったり、手元の紙にアイデアを書き溜めていきました。
お昼休憩をはさんで、午後からは、さっき描いたアイデアをみんなで見せ合います。同じ写真でも考え方は皆さんバラバラ。例えば、バスの座席に残った跡を撮影した写真を見て、カップルのお化けを思い浮かべる人もいれば、両手で席を取ってしまうカエルのようなお化けを思いついた人もいました。アーティストがどんなところが気になって撮ったのかという話も交えながら、それぞれのアイデアを言い合って楽しみました。次に、それぞれが撮ってきた写真をみんなで見せ合いながら、どうしてそれが気になったのか、エピソードを共有していきます。
その後、音を聞いて、そのイメージでドローイングをしました。「キュルキュル」というようなこすれる音に聞こえた人は「鉛筆とキャップをこする音」と表現したり、他の人は「かざぐるまの音」や「ネズミの鳴き声」に聞こえたり、こちらも印象はさまざま。
最後に今までの写真やスケッチをもう一度見ながら、組み合わせたり、発想を膨らませて、絵を描いたり、ストーリーをつくったりしました。ちょっとずつ違う活動をして、少しずつ考えを深めていくことでじっくりと楽しめたようでした。
潘逸舟レクチャー
2017.11.30.木曜日
11月25日(土)、秋AIR参加作家の潘さんが、中高生向けにレクチャーをしました。青森東高校、青森南中学校、筒井中学校から有志の生徒さんが参加してくださいました。潘さんは、青森で過ごした時期やその時の思いから、制作への考え方まで、丁寧に話してくださいました。
潘さんは中国生まれですが、9歳から高校生までの時期を青森で過ごしました。留学するために来た両親とともに上海から青森へ移住した潘さんは、中学生の頃には美術好きの父の影響もあって、石膏デッサンを始め、高校生で美術コースへ進みます。その頃にACACでマリーナ・アブラモビッチの作品を観たことをきっかけに、現代美術に出会い、パフォーマンスの作品も制作し始めたそうです。
驚くのは、一人で交渉してある土地を借り、2日間の個展を成し遂げたことでした。展覧会には誰も来なかったそうですが、そのときに行ったパフォーマンスの記録映像《My Star》には、現在の潘さんの作品につながる「存在に関する問い」がありありと示されています。潘さんは、そのときの「すぐには認められない」状態が大事で、自分のいいと思うことを続けられる土台になったと振り返っていました。その後、芸大に行き、何を作りたいか悩んでいた時期についても「わからないなりにやってみるとおもしろいものができる」と背中を押すように話をしてくれました。
その後も、メルボルンで滞在制作した作品や現在ACACで展示している作品など、それぞれの時期の作品を見せながら、そのときの自分の気持ちや、関心を丁寧に話す姿に、生徒たちも耳を傾けて真剣に考えていました。
青森という環境で制作を始め、国内外で活躍する潘さん。青森の中高生たちは自分たちと同じ境遇をもつ潘さんの話に、勇気付けられたのではないでしょうか。
アン・スークーン トーク&上映会「ひとつの抱擁」
2017.11.27.月曜日
11月19日、アン・スークーンによるトーク&上映会「ひとつの抱擁」を開催しました。
彼女は、彫刻やモニター、映像など、様々な方法で制作をします。
作品に通じることは、合理的な世界を再認識すること、そして存在の不安定な性質についての関心です。
たとえば、ACACで展示している《SPECTRE》に通じる作品《PRESENT SENSE》は、身近なありふれたものを、拡大してパネルに提示し、新しい見え方を加え、物が持つ文脈から切り取ることで、身近な世界を再発見するための新たな視点をもたらします。
また、上映した《Exorcize me》は、大人になると忘れしまう、自分自身の存在に関する思春期の不安を、ゾンビメイクをした女の子たちが学校で気だるげにしている様子から描き出していました。
印象的だったのは、バンの上に水晶を成長させて作った作品《Your Love is Like A Chunk of Gold》です。丸みのあるパンが尖った水晶と組み合わされることで、相反する印象が生まれていました。なじみ深いはずのパンは黒く、普段出会うはずのない水晶と組み合わされ。地質学で扱われるような未知の物に見えます。
会場からの質問によって、特徴的なタイトルをつける理由は、その意味を縛らないようにするためであることもわかりました。
アンは、作品の素材・表現方法・タイトルすべてによって、私たちの普段の認識を変化させることで、存在の不安定さについて表現していることがわかりました。
ラーキー・ペスワニ トーク&セッション
2017.11.14.火曜日
11月12日(日)、ラーキー・ペスワニによるトークイベントを開催しました。
まず、ラーキーから母国であるインドの近代化の歴史と現在の社会状況について話しがありました。インドがイギリスの植民地となり、新たな考えや制度が受容されつつも、昔から存在する階級制度であるカースト制度の影響が未だ残るということなど丁寧に説明がありました。
自らの作品を紹介していくなかで、インドの背景を踏まえて制作していることも明らかになってきました。美術において様々な素材を扱うなかでも、例えば、ふくらんだ麻袋によって、出稼ぎ労働者の姿を想像させるなどのしかけをしています。
見えているものは同じ素材でも、意味のとらえ方は社会的背景によって変化し、ラーキーが様々な意味を考慮して制作していることがわかりました。
現在ACACで展示している作品は今後も発展させる予定とのことで、今後の活動も期待させてくれるトークとなりました。