景観観察研究会「八甲田大学校」
The Society for Landscape Observation and Research "Hakkoda Academy"

O JUN《校章図》2022年、撮影:小池俊起
O JUN "Design of School Emblem" Photo: KOIKE Toshiki
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古来、芸術と科学は一体であり、僕ら人間の生きる術(すべ)であった。人は進化の過程で自然を観察し、その成果を表現する力を獲得した。たとえば、うつくしい動物を壁画に描きながめること。そうやって僕らは自然のことを四六時中考えたり話したりすることで、狩りに成功し、危険を回避し、後継者を養成してきたことだろう。しかしいつしか、僕らは自然観察の能力を忘れ、日々の忙しさと情報の海におぼれる現代の暮らしを送るようになった。
だから僕ら景観観察研究会は、いまここ青森の地で、自然について調べ、体験し、表現することをはじめた。芸術家と科学者がフラットな関係性で、こころにつき動かされるままに活動することにした。ここが、大自然と人間のことを考えるスタートラインである。-景観観察研究会

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このプログラムについて
景観観察研究会(景観研)は、絵画、版画、写真、フィールドワークをもとにした活動などを行うアーティスト4名(OJUN、板津悟、新津保建秀、山本修路)と、寄生虫学や森林生態学を専門に自然をフィールドとする研究者3名(筏井宏実、伊勢武史、大庭ゆりか)からなる、自然と人間の連環について考え、実践していくための共同体(コレクティブ)です。筏井宏実と山本修路は青森県十和田市に拠点があり、OJUNと青森公立大学および国際芸術センター青森との縁も深いことから、「八甲田大学校」の計画は、2018年頃より動きはじめました。
この夏から秋のはじめにかけて、八甲田連峰のふもと、自然に囲まれた国際芸術センター青森の環境を活かしながら、景観研メンバーたちは作品制作やワークショップ、トークなどの活動を日々繰り広げます。それぞれの専門性を土台としつつも、この場所を共有する人々との対話や協働、誰かがいた・なにかがあった痕跡や記憶、ミクロとマクロな視点の往還運動のなかから、自然界の複雑さや創造性を改めて知ることができたらと考えています。芸術や科学の別なく、世界を能動的に経験することで、歴史や経済、環境や進化まですべてが相互に関連し、そこから生成された知が、私たちの生きる糧になっていくことを願っています。

景観観察研究会「八甲田大学校」チラシ(PDF)デザイン:小池俊起

主催 青森公立大学 国際芸術センター青森 [ACAC]
協力 AIRS(アーティスト・イン・レジデンス・サポーターズ)、青森公立大学芸術サークル ほか
後援 NHK青森放送局、青森テレビ、RAB青森放送、青森朝日放送、青森ケーブルテレビ、エフエム青森、ABHラジオ、コミュニティラジオ局BeFM、東奥日報社、陸奥新報社、デーリー東北新聞社
企画 景観観察研究会+慶野結香(ACAC)

  • 筏井 宏実
    IKADAI Hiromi

    寄生虫学者。北里大学獣医学部准教授。岐阜大学大学院連合獣医学研究科修了、博士(獣医学)。専門は、主に寄生性原虫と媒介生物の相互関係。これまでにマラリア、バベシア症に関する研究を中心に行う。国内外の寄生虫学・獣医学系ジャーナルでの論文発表、学会での口頭発表など多数。最近の記事執筆に「One Healthの概念と人獣共通感染症:感染症と付き合うために理解しておくこと」(『ICNR』、2020年)など。

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  • 伊勢 武史
    ISE Takeshi

    生態学者。京都大学フィールド科学教育研究センター准教授。ハーバード大学大学院進化・個体生物学部修了(Ph.D.)。専門は森林生態学とコンピュータシミュレーション。地球温暖化から人類の進化まで、人と自然の関わりを考えることがライフワーク。主な単著に『学んでみると生態学はおもしろい』(ベレ出版、2013年)、『生態学者の目のツケドコロ』(ベレ出版、2021年)など。

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  • 板津 悟
    ITAZU Satoru

    摺師(プリンター)。板津石版画工房(イタヅ・リトグラフィック)主宰。タマリンド・リトグラフ研究所(ニューメキシコ大学)でリトグラフを学ぶ。一般印刷に用いられていた石版印刷の版画としての美術表現の可能性を探究し、アーティストとのコラボレーションで魅力的な作品制作を行う。主な展覧会に「版画工房の仕事『Footprints』」(カスヤの森現代美術館、2016年)など。

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  • O JUN
    O JUN

    画家。東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修士課程修了。絵画を中心に、描くための画材や素材・方法を様々に試みている。国内外で個展・グループ展など多数。国際芸術センター青森では、2016年に個展「まんまんちゃん、あん」を開催した。作品集に『O JUN 1996-2007』(赤々舎、2007年)、『1982-2013 O JUN 描く児』(青幻社、2013年)、『途中の造物』(ミヅマアートギャラリー、2019年)など。

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  • 大庭 ゆりか
    OBA Yurika

    生態学者。京都大学フィールド科学教育研究センター森林生態系部門研究員。広島大学大学院リーディングプログラム放射線災害復興を推進するフェニックスリーダー育成プログラム修了、博士(学術)。専門は、森林生態学、環境科学。異なる生態系間の相互作用や生物と環境の関係性の解明をテーマに研究を行っている。

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  • 新津保 建秀
    SHINTSUBO Kenshu

    写真家。東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。博士(美術)。写真、ドローイング、映像、フィールドレコーディングなどによる制作を行う。主な作品集に、池上高志との共作『Rugged TimeScape』(FOIL、2010年)、『Spring Ephemeral』(FOIL、2011年)、『\風景』(角川書店、2012年)など。近作に、詩人の立原道造(1914-39)が生前に構想した別荘を主題とした「往還の風景_別所沼公園」(さいたま国際芸術祭2020、2020年)など。

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  • 山本 修路
    YAMAMOTO Shuji

    作家。多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。庭師のバックグラウンドを持ちながら、「大自然と人間の関わり」をテーマに日本各地でフィールドワークを続け、農作から携わる酒造・メープルシロップづくりから、林業についての考察など、その活動は多岐にわたる。青森県内での活動として、十和田市現代美術館に彫刻作品を恒久設置(2008年)、「Aomori Spring Sprout展 ―青森 春に芽吹く光―」(青森県立美術館県民ギャラリー、2022年)に参加。

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  • 北里大学獣医学部獣医寄生虫学研究室
    Laboratory of Veterinary Parasitology, Kitasato University

    獣医寄生虫学研究室は、北里大学十和田キャンパス創立時(1966年)に開校された家畜病理・寄生虫学研究室を母体とし、1981年に獣医寄生虫学研究室として新設。自然豊かな十和田市という立地を活かし、野生動物の保有する寄生虫および寄生虫感染症の媒介生物について、その生態や宿主に及ぼす影響を研究している。教員に筏井宏実准教授、草木迫浩大助教。

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  • 熊谷 裕
    KUMAGAI Hiroshi

    木工房じゅげむ主宰。会社員を定年退職後、青森市沢山で里山の木や植物を育てながら木製品を製作する工房を営み、スツールやキッチングッズなど普段使いの木製品を自作し、販売も手がけている。東北各地で開催されているクラフトフェア等へ精力的に参加している。

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  • 藏田 典子
    KURATA Noriko

    京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程。人文地理学を専門とし、場所への愛着や喪失といった人の思いと場所の関係をテーマに調査・研究を行う。山口県の無形民俗文化財「鷺の舞」の伝統を守る頭屋に生まれ、現在では、江戸時代から頭屋を受け継ぐ材木屋の家屋や倉庫などを利用し、伝統文化や地域資源を美術領域で再活用する「Do a Front」の活動に携わっている。

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  • 中村 咲蓮
    NAKAMURA Sakure

    北里大学大学院獣医学系研究科獣医学専攻博士課程1年、獣医寄生虫学研究室所属。野生動物の寄生虫相およびその生態について、吸虫類を主な対象として研究を行う。十和田市現代美術館サポーターとして「『地域アート』はどこにある?」プロジェクトなどに参加。廃棄羊毛を使用した自身の制作活動をもとに展示、講演、記事執筆も行う。

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  • 山下 港
    YAMASHITA Minato

    東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程3年。ロボティック生命光学分野(太田研究室)所属。医療や創薬に役立つよう、人間の細胞一つ一つからより多くの情報を引き出してくれる新しいテクノロジーの開発を行う。他にも、生態学や古生物学、脳神経科学など、幅広く生物学の研究に携わってきた。その一方、美術にも強い関心があり、制作・展示活動を続けている。

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  • 山極 壽一
    YAMAGIWA Juichi

    総合地球環境学研究所 所長。1952 年東京都生まれ。京都大学理学部卒、同大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学。理学博士。ルワンダ共和国カリソケ研究センター客員研究員、日本モンキーセンター研究員、京都大学霊長類研究所助手、京都大学大学院理学研究科助教授、同教授、同研究科長・理学
    部長を経て、2020 年まで第 26 代京都大学総長。人類進化論専攻。屋久島で野生ニホンザル、アフリカ各地で野生ゴリラの社会生態学的研究に従事。 日本霊長類学会会長、国際霊長類学会会長、日本学術会議会長、総合科学技術・イノベーション会議議員を歴任。現在、総合地球環境学研究所 所長、環境省中央環境審議会委員を務める。著書に『人生で大事なことはみんなゴリラから教わった』(2020 年、家の光協会)、『スマホを捨てたい子
    どもたち―野生に学ぶ「未知の時代」の生き方』(2020 年、ポプラ新書)、『京大というジャングルでゴリラ学者が考えたこと』(2021 年、朝日新書)など多数。

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From the beginning, art and science have existed as one, the means of living for us as humans. Through evolution, man has acquired the ability to observe nature and express the results of these observations – an example being the depiction and appreciation of beautiful animals in cave paintings. In this way, by constantly thinking and talking about nature, we have successfully hunted, avoided danger, and trained our descendants. However, we have lost our ability to observe nature and have come to lead modern lives, drowning in a sea of information and the busyness of daily life.
It is for this reason that we, The Society for Landscape Observation and Research, began investigating, experiencing, and expressing nature here in Aomori. As artists and scientists, we have decided to work as equals, following our hearts as they move us. This is the starting line for thinking about nature and humanity.

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About This Program
The Society for Landscape Observation and Research (Keikanken) is a collective for contemplating and implementing the link between nature and humans. It consists of four artists (O JUN, ITAZU Satoru, SHINTSUBO Kenshu, and YAMAMOTO Shuji) who are engaged in painting, printmaking, photography, and fieldwork-based activities, and three natural environment researchers (IKADAI Hiromi, ISE Takeshi, and OBA Yurika) who are specialists in parasitology and forest ecology. Ikadai and Yamamoto are based in Towada City, Aomori Prefecture, and with O JUN’s close ties to Aomori Public University and the Aomori Contemporary Art Center, plans for “Hakkoda Academy” began to take shape around 2018.
From this summer through to early fall, the members of Keikanken will spend each day taking advantage of the environment around Aomori Contemporary Art Centre, which is surrounded by nature at the foot of the Hakkoda mountain range. They will create artworks, hold workshops, and give talks, among other activities. While each member’s expertise is the foundation of their work, we hope to gain a new appreciation of the complexity and creativity of the natural world through dialogue and collaboration with the people who share this space, the traces and memories of what once was, and the back-and-forth movement between micro and macro perspectives. By actively experiencing the world, whether through art or science, everything, from history and economics to the environment and evolution, becomes interconnected. We hope the knowledge we generate from this approach will nourish our lives.

The Society for Landscape Observation and Reserch “Hakkoda Academy” (PDF)Design: KOIKE Toshiki

Organized by Aomori Contemporary Art Centre, Aomori Public University
In Cooperation with AIRS (Artist in Residence Supporters), Arts Club of Aomori Public University and more
Nominal Support NHK Aomori Broadcasting Station, Aomori Television Broadcasting Co., Ltd., Aomori Broadcasting Corporation, Asahi Broadcasting Aomori Co., Ltd., Aomori Cable Television, Aomori Fm Broadcasting, ABH Radio, BeFM, The To-o Nippo Press Co., MUTUSINPOU co., Ltd., The Dairy-Tohoku Shimbun Inc.
Planning The Society for Landscape Observation and Research, KEINO Yuka (ACAC Curator)

  • IKADAI Hiromi
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  • ISE Takeshi
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  • ITAZU Satoru
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  • O JUN
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  • OBA Yurika
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  • SHINTSUBO Kenshu
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  • YAMAMOTO Shuji
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  • Laboratory of Veterinary Parasitology, Kitasato University
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  • KUMAGAI Hiroshi
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  • KURATA Noriko
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  • NAKAMURA Sakure
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  • YAMASHITA Minato
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  • YAMAGIWA Juichi

    Juichi Yamagiwa is the Director-General of Research Institute for Humanity and Nature. He is a world-renowned researcher and expert in the study of primatology and human evolution. He was awarded Doctor of Science from Kyoto University in 1987. After
    holding positions at the Karisoke Research Center, Japan Monkey Center, and Primate Research Institute Kyoto University, he has been Professor of Graduate School of Science at Kyoto University since 2002. He was Dean of Graduate School and Faculty of Science from 2011 to 2013 and has been the 26th President of Kyoto University from 2014 to 2020. Dr. Yamagiwa has also served as President of International Primatological Society from 2008 to 2012, and as the Editor in Chief of Primates, a quarterly peer-reviewed scientific journal of primatology published by Springer Science+Business Media from 2010 to 2014. In Japan, he served as the president of the Japan Association of National Universities, the president of Science Council of Japan, and is now the member of Environmental Policy Committee of Ministry of Environment. Dr. Yamagiwa’s passion for fieldwork research frequently made him travel to Africa, such as Rwanda, Republic of the Congo, and Gabonese Republic, where he discovered an abundance of new findings related to gorillas, through his unique viewpoint of evolution.

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